- 本件は,いわゆる分掌変更によって役員退職給与を支給する場合に,これを分割して支給し,別の年度の損金として処理することが認められるかが問題となった事案です。納税者が勝訴し,課税庁は控訴せず確定しています。
- 事案の概要は次のとおりです。
(1) 原告会社Xの創業者Aは,平成19年8月31日,代表取締役を辞任し,以後,非常勤取締役となった。役員報酬は月額87万円から40万円となった。
(2) Xは,平成19年8月31日,Aに対し,退職慰労金の一部として,7500万円(本件第一金員)を支払い,これを平成19年8月期における損金の額に算入して法人税の確定申告をした。
(3) Xは,平成20年8月29日,Aに対し,退職慰労金の一部として1億2500万円(本件第二金員)を支払い,これを平成20年8月期における損金の額に算入して法人税の確定申告をした。
(4) 平成22年4月,税務調査が開始され,課税庁は,本件第二金員は退職給与に該当せず,平成20年8月期において損金の額に算入することはできないとして,平成20年8月期に係る法人税の更正処分,過少申告加算税の賦課決定処分,源泉所得税の納税告知処分,不納付加算税の賦課決定処分を行った。