年金受給者の節税策 雑所得減らしを投資商品で
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:1999/12/22  提供元:エヌピー通信社

 高齢者の間で、公的年金を活用した節税が注目されている。公的年金は所得税法上、雑所得として処理され、他の所得と損益通算できない。しかし、雑所得同士ならば、損益通算できるため、この仕組みをうまく利用することで節税につなげている。年金受給者のなかには、利益が雑所得となる商品を選んで投資するものもおり、資産に余裕のある年金受給者の間では、投資商品に失敗しても赤字になった部分を公的年金でカバーすることで一種の所得減らしに利用している。
 景気低迷の影響を受けて、資産運用に関心を示すものも増えている。
 こうしたなか、高齢者の間では、堅実な資産設計と豊富な資金源を基に、公的年金の税の取扱いを逆手にとった節税対策を行うものが出てきている。
 年金受給者が行っている節税手法とは、手にする年金が雑所得として課税されることから、利益が雑所得となる商品を選んで投資するというもの。雑所得は、他の所得とは損益通算できないが、同じ雑所得同士ならできる。
 そこで、投資により損失を出しても年金で埋め合わせができるスキームをつくり、資産運用が成功しなくても、年金でカバーして税金を減らすという手法を利用している。
 金融ビックバンにより、外国から新しい投資商品が持ち込まれてきているだけでなく、個人の利殖手段としてデリバティブ(金融派生商品)を行うものも増えている。
 デリバティブ取引では、株価指数などの先物や、その先物の権利を売り買いするオプションなどがあるが、取引による差益はいずれも雑所得として総合課税の対象となる。
 したがって、高齢者の間では所得税の分離課税や単純に譲渡課税される投資商品よりも、デリバティブ取引の方に魅力を感じるものも増えている。
 総務庁の調べによると、65歳以上の1人当たりの貯蓄額は2282万9千円で、65歳未満が1人当たり行っている貯蓄額よりも約1千万円も多いことを報告している(平成10年貯蓄動向調査)。
 老後資金を確保しながら、資産設計を効果的に行うこの手法は、今後もさかんに研究されそうだ。

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