遺贈と贈与の相違点自分の財産を渡すという点では同じでも、遺贈と贈与には次のような違いがあります。
遺贈と贈与それぞれの特徴を理解して、ご自身やご家族にとって最適な相続対策を選択するようにしましょう。 相違点①:当事者間の合意の有無贈与は、贈与者と受贈者の間で贈与契約を結ぶ必要があり、当事者間の合意が必要です。 しかし、遺贈は財産を残す者だけの意思で行うことができ、相手側の同意は必要ありません。 遺言書を作成した人が生きている間、財産を受け取る側の人が遺言の内容自体を知らないということも当然あり得ます。 相違点②:撤回や放棄の可否遺言書は、作成者本人が自らの意思によって作成するものなので、内容を撤回したり別の内容で遺言書を作成し直すことが可能です。 すでに遺言書を作成している場合でも、新たに遺言書を作れば日付が新しいものが優先されます。 わざわざ以前の遺言書を撤回するための手続きは要りません。
また、遺贈によって財産を渡される側は、そもそも遺言の内容を事前に知らない場合もあります。 そのため、遺贈を放棄して財産を受け取らないことも選択できます。
一方で、贈与は双方が合意して契約を結んでいるものなので、一方的な撤回や放棄はできません。 ただし「契約自体をなかったことにしましょう」といった合意を別途することによって、事後的に契約を解除したり取り消すことは可能です。
なお、負担付死因贈与では事後的な撤回がもはやできない場合があるため注意してください。 負担付死因贈与とは「△△をしてくれたら私の死後に〇〇をあなたに贈与します」といった形で、財産を贈与する条件として相手方に一定の負担を求める死因贈与です。 契約内容のうち既に履行が終わっている部分は撤回することができないものとされています。
生前に何らかの負担を相手に求める負担付死因贈与では、生前からすでに負担に対応する部分が履行されていることが多く、撤回できないケースが少なくありません。 贈与する側が生きている間に撤回することができないだけでなく、贈与者の死後に受贈者が放棄して贈与財産を受け取らないという選択もできないので注意が必要です。 相違点③:相続税と贈与税遺贈と贈与では、かかる税金が異なります。 遺贈で取得した財産は相続税の課税対象で、贈与で取得した財産は贈与税の課税対象です。 ただし、贈与の中でも死後に財産を渡す死因贈与は、性質が相続に近いため「贈与税」ではなく「相続税」がかかります。 贈与税の方が相続税よりも税額が大きくなることが多く、同じ財産でもどちらの税金の課税対象になるかで税額が変わるので注意が必要です。 No.4402 贈与税がかかる場合※ 新型コロナウィルス感染症に関する対応や税制上の措置については、こちらをご覧ください。 [令和2年4月1日現在法令等] 贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。 1 暦年課税贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。 2 相続時精算課税 「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。 3 申告と納税 贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。 (相法1の4、2の2、3、5~9、21の5、21の9~12、28、33、38、措法70の2の4)
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