
課税事業者が免税事業者になるときは期末にある棚卸資産に係る消費税額の調整が必要です。 課税事業者のときに購入した販売用商品は、購入した年度の仕入税額控除になります。
しかし、その販売用商品を免税事業者のときに販売すると、その売り上げには消費税がかかりません。 消費税を過小に納付してしまうことになるため、期末にある棚卸資産に係る消費税額を 翌年度から免税事業者になる課税事業者の、年度の仕入税額控除から減算します。
※対象となる期末棚卸資産は、免税事業者になる直前の課税期間中に仕入れたものに限り、 それより前に仕入れた棚卸資産で期末在庫として残っているものは対象になりません。
No.6491 免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整
[令和5年10月1日現在法令等]
対象税目
消費税
概要
免税事業者が新たに課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうち、納税義務が免除されていた期間中の課税仕入れ等に係るものがある場合、その棚卸資産についての課税仕入れ等の税額は、課税事業者となった課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額とみなして仕入控除税額の計算の対象となります。
内容
この対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものをいいます。
この場合の棚卸資産の取得価額には、その棚卸資産の購入金額のほかに、引取運賃や荷造費用、そのほかこれを購入するために要した費用の額などが含まれます。
なお、この適用を受けるためには、その対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存しなければなりません。
また、仕入税額控除の対象とすることができる棚卸資産の消費税額の計算は、その棚卸資産の取得価額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となる棚卸資産については108分の6.24)を掛けた金額となります。
(注1) 新たに課税事業者となる場合に、平成26年3月31日までに仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産の取得価額に105分の4を掛けて棚卸資産に係る消費税額を計算します。
(注2) 新たに課税事業者となる場合に、平成26年4月1日から令和元年9月30日までに仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産の取得価額に108分の6.3を掛けて棚卸資産に係る消費税額を計算します。
ところで、上記の場合とは逆に、課税事業者が免税事業者となった場合にも、棚卸資産に係る消費税額の調整が必要です。
課税事業者が免税事業者となる課税期間の直前の課税期間に仕入れた課税仕入れ等に係る棚卸資産を、その直前の課税期間の末日において所有している場合、その棚卸資産ついての課税仕入れ等の税額は、その直前の課税期間における仕入控除税額の計算の対象にすることはできません。
(注3) 免税事業者となる場合に、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置(いわゆる80%、50%控除)の適用を受けていた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産について調整する課税仕入れ等の税額は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までに仕入れた棚卸資産であれば、その80%を、令和8年10月1日から令和11年9月30日までに仕入れた棚卸資産であれば、その50%を掛けて計算します。