税務ノート
  

税制改正のポイント

■  上場株式等の譲渡益課税

  1. 源泉分離課税の廃止、申告分離課税への一本化と税率引下げ
    • 平成15年1月1日〜 恒久措置として、源泉分離課税制度を廃止し、それにともない、基本税率が26%→20%に引き下げられました。
    申告分離課税
    • 確定申告をして、給与所得や配当所得などの他の所得とは「分離」して「課税」をする課税方法。
    • 毎年1月から12月分の株式売買について、原則、投資家が自分で税額を計算し、翌年3月15日までに確定申告しなければいけません。
    • 税額は、株式売買による譲渡益に税率を掛けて算出。譲渡(損)益の算出方法は次の通りです。
      譲渡(損)益=売却額―取得価額―売却手数料等の費用(税込)
    • 1月から12月までの1年間に行った株式売買で、儲かったものと損をしたものがある場合には、損益を通算してから税率をかけます。
      税額=(譲渡益−譲渡損)×税率

  2. 譲渡所得等に対する優遇税率
    • 平成15年1月〜平成19年12月末までの暫定措置。
    • 上場株式等の譲渡所得等についての税率が10%(所得税7%・住民税3%)に優遇されます。
    • 平成20年からは基本税率に戻り15%・5%となります。

  3. 譲渡損失の繰越控除
    • 平成15年1月〜 恒久措置。
    • 上場株式等を譲渡した場合に生じた損失のうち、その年の譲渡益から控除しきれない金額については、確定申告を条件に、翌年以降3年間にわたって、株式等の譲渡所得等の金額から控除することが可能です。

  4. 購入額1000万円までの非課税措置
    • 平成17年〜平成19年末までの3年間の譲渡が対象となる暫定措置。
    • 平成13年11月30日〜平成14年末までに購入し、継続所有した上場株式等を上記期間に譲渡する場合、購入額(取得対価の額。手数料等が含まれない)が1000万円となるまでのものの譲渡益は非課税となります。購入額が1000万円を超える部分に対する譲渡益は課税されます。
    • 特定上場株式等非課税適用選択申告書の提出が必要です。
    • 「非課税」措置であるため、「特定口座・源泉徴収あり」において譲渡した場合は適用されません。

  5. 一般口座でのみなし取得費の特例
    • 平成15年1月〜平成22年末までの8年間の譲渡が対象となる期間限定措置。
    • 平成13年9月30日までに取得した上場株式等を上記期間に譲渡した場合の取得費の額を、納税者の選択により平成13年10月1日における終値の80%とすることが可能です。
■  特定口座

■  上場株式等の配当(大口株主以外)


上場株式等の配当金への課税方法は源泉徴収方式(20%)に一本化され、受取配当金額によらず、確定申告は不要となります。また、平成15年4月1日から20年3月末までの5年間の税率は、10%に優遇されることとなりました。


従来通り、確定申告をして配当控除(ただし、REIT、外国株式等を除く)の適用を受けることもできます。
10%の優遇税率は上場株式等の他、上場優先出資証券やETF、REITといった上場投資信託にも適用されます。
個人の大口株主(発行済株式総数5%以上を所有している株主)については、20%の源泉徴収後、確定申告が必要です。

【平成15年3月末まで】

※総合課税においては配当控除の適用あり
配当金等 概要
所得税 住民税
1銘柄あたり
1回の支払金額
25万円以上
総合課税
(20%の源泉徴収)
総合課税
5万円超〜
25万円未満
源泉分離選択課税
(35%の源泉徴収)
5万円以下 確定申告不要
(20%の源泉徴収)
非課税
配当控除率 所得税 住民税
・課税所得金額が1000万以下の部分 10% 2.8%
・課税所得金額が1000万超の部分 5% 1.4%

【平成15年4月〜】

大口株主(保有割合5%以上)以外の上場株式の配当等の場合
所得税・住民税
20%源泉徴収
(申告不要)
1.所得税15%、住民税5%
2.総合課税(配当控除適用)の選択可

今後5年間(平成15年4月〜平成20年3月)
源泉徴収税率 20%→10%
■  公募株式投資信託


  1. 株式投資信託の収益分配金・解約・償還差益にかかる10%優遇税率の適用
    株式投資信託(公募)の分配金および解約・償還差益についての税率は現在20%ですが、平成16年1月〜平成20年3月末までの間は10%優遇税率が適用されます。

  2. 株式投資信託の収益分配金についても総合課税の選択を条件として配当控除を受けることが可能

  3. 株式投資信託の解約損・償還損は株式譲渡益との損益通算が可能
    平成16年1月〜、株式投資信託(公募)の解約時や償還時に損失が生じた場合は、株式等の譲渡益と損益通算することが可能となります。

■  「上場株式等」とは以下のものです。


「上場株式等」に該当するもの
上場株式、上場新株予約権、上場している新株の引受権 店頭登録株式
店頭登録新株予約権付社債
上場新株予約権付社債 店頭管理銘柄
上場優先出資証券 日銀出資証券
上場ETF 外国市場で売買される株式・新株予約権・新株予約権付社債・新株
上場REIT





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