税務ノート
  
居住者・非居住者

 所得税法上、「居住者」とは、日本国内に住所を有するか又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する人をいい、「非居住者」とは、居住者以外の人をいいます。住所とは、生活の本拠をいい、居所とは、生活の本拠ではないが現実に居住している場所をいいます。
 この場合、国内又は国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するときは、それぞれ国内又は国外に住所を有するものと推定することとされていますので、その地における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除き、これに該当するものとして取り扱っています。
  したがって、海外勤務のため出国した人は、その海外勤務の期間があらかじめ1年未満とされている場合を除き、出国のときから非居住者に該当することとなります。
 なお、海外における勤務期間が当初は1年未満の予定であったのに、何らかの事情により結果的に1年以上となった場合又は延長命令等により1年以上となることが明らかとなった場合には、出国当初は居住者と判定され、1年を経過した日又は1年以上滞在することが明らかとなった日から非居住者と判定されることになります(海外から日本に転勤となったケースについては、居住者・非居住者の判定がそれぞれ逆になります。)。
 ただし例外があり、海外にいても、公務員(国家・地方の双方)、船舶や航空機の乗組員、居住者に扶養されている留学生などは、居住者扱いとなります。


1.個人住民税(市民税・県民税)の課税等

個人住民税は、毎年1月1日(賦課期日)時点に住所を有する市町村、都道府県から、前年中(1月から12月)の所得に対して課税されます。
海外赴任などで国外に1年以上居住することとなった場合は、その年度(給与所得者の場合は転出した年の6月から翌年の5月まで)の住民税は課税されますが、翌年度からは非居住者とみなされ、住民税が課税されません。
海外転出の期間が1年未満の場合は、1月1日(賦課期日)現在に国外にいても、(原則として)国内に引き続き住所がある(居住者)ものとみなされ、住民税が課税されます。
詳しくは、区役所市民税係にお問い合わせください。

<赴任前の手続>
  1. 1年以上の海外転出予定の場合は、居住地の区役所戸籍課に「住民異動届(転出届)」を提出して住民票を異動(抹消)してください。
  2. 海外に転出した年の住民税の納税方法について、居住地の区役所課税課市民税係にご相談ください。
<赴任地での手続>

赴任地の在外公館に「在留届け」を提出してください。現地在外公館から区役所に転出先が通知されます。

<帰国後の手続>

「パスポート」、「戸籍謄本」及び「戸籍の附票の写し」を居住地の区役所戸籍課窓口に持参し、住民登録の手続を行ってください。

【注意事項】
個人住民税は、所得に応じて負担していただく所得割と広く均等に負担していただく均等割の合計額となっており、海外転出の期間が1年以上の場合であっても、自己又は家族の居住の用に供する目的の住宅(自己の所有であること及び現に居住していることを問いません。)を有している場合は、均等割(年税額4千円)が課税されます。
住民票の異動(抹消)により、印鑑登録が失効します(印鑑証明が取得できなくなります。)。