税務ノート
  
平成16年4月12日 租税公課

租税公課の取り扱い

会社が支払う税金にはいろいろな種類があることは、前に述べたと思いますが、その税金の中でも損金算入のものと損金不算入のものとがありますので注意が必要です。

損金不算入のもの

税金のうち、次のものは、損金の額に算入することができません。つまり、会計上は費用と計上されていても、法人税法上は損金不算入として加算対象となるものです。
(1) 法人税(退職年金等積立金に対する法人税を除く)
(2) 法人税の延滞税・過少申告加算税・無申告加算税及び重加算税
(3) 公益を目的とする事業を行う法人に対する贈与税及び相続税
(4) 法人税以外の国税に係る延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税並びに印紙税法による過怠税
(5) 道府県民税及び市町村民税(都民税・利子割を含み、退職年金等積立金に対するものを除く)
(6) 地方税法に規定する延滞金(納期限の延長に係るものを除く)・過少申告加算税・不納付加算金・及び重加算金
(7) 罰金・科料(通告処分によるものを含む)並びに過料等
(8) 国税徴収法または地方税法による第二次納税義務による国税(延滞処分費を含む)及び地方税
(9) 法人税額から控除または還付される所得税額
(10) 控除の対象とした外国の法人税額等
(11) 外国または外国の地方公共団体で課された罰金・科料
※この罰金・科料とは、裁判手続きにより外国または外国の地方公共団体より課されるものをいいます。

損金算入のもの

次の税金は、損金の額に算入することができます。これらは、会計上費用処理しているものは、特に税務調整を必要としないものです。
(1) 退職年金等積立金に対する法人税(延滞税・過少申告加算税・無申告加算税及び重加算税を除く)
(2) 修正申告・更正により納付すべき金額のうち還付加算金相当の法人税額
(3) 確定申告期限の延長による場合の利子税
(4) 退職年金等積立金に対する道府県民税・市町村民税(都民税を含む)
(5) 地方税法の納期限の延長にかかる延滞金
(6) 法人税額から控除しなかった所得税額
(7) 法人税額からの控除の対象としなかった外国の法人税額等
(8) 事業税
(9) 固定資産税・都市計画税・償却資産税・事業所税・自動車税
(10) 消費税・地方消費税・特別地方消費税・酒税
(11) 労働保険・社会保険の延滞金
(12) 印紙税・地価税
(13) 外国または外国の地方公共団体で課される過料・課徴金・追徴金等

節税のための注意点

(1)控除対象の源泉所得税

利子・配当等については、源泉所得税を差し引かれた金額(手取額)が受取金額となります。この源泉所得税については、損金算入してもしなくてもよいこととなっています。損金算入した場合は、法人税額からその源泉所得税を控除することができません。
どちらが法人に有利かというと、損金不算入として控除所得税額の規定を利用する方です。したがって必ず損金不算入し、控除所得税額を受けるようにして下さい。

(2)労働保険・社会保険の延滞金

国税及び地方税の延滞金は、損金不算入ですが、労働保険・社会保険の延滞金は、損金算入になります。

損金算入時期

税金の損金算入時期は、税金の課税方式により、次の2つに区分されます。

(1)申告納税方式

「申告納税方式」とは、自主申告により法人が、自主的に納税額を計算し納税する方式でしたね。申告納税方式の税金は、その申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入されます。
更正または決定があった場合には、その更正または決定のあった日の属する事業年度の損金の額に算入します。
 <例> 事業税・酒税・事業所税等
※消費税・地方消費税は、損金経理により未払金処理によることもできる。

(2)賦課課税方式

賦課課税方式とは、国(税務署)または地方公共団体(県税事務所・市役所等)が納税額を決定し、納税者はそれに従って納税する方式でしたね。賦課課税方式の税金は、その賦課決定があった日の属する事業年度の損金の額に算入します。
つまり、未払金処理でも損金に算入されることになります。また、その賦課課税による税金を実際に納付した日又はその税金納期開始の日の属する事業年度の損金の額に算入することも可能です。
  <例> 固定資産税・都市計画税・不動産取得税等

関連別表

租税公課の事項が関連する別表は、次のとおりです。
別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」
別表四 「所得の金額の計算に関する明細書」
別表五(一)「利益積立金額の計算に関する明細書」
別表六(一)「所得税額の控除及びみなし配当金額の一部の控除に関する明細書」
別表六(一)付表「法人税の額から控除する所得税の額の計算に関する明細書」
別表六(二)「外国税額の控除に関する明細書」等

本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。

平成13年1月19日改定