ケーススタディに応じて適用となるか考えてみましょう。
リフォームの場合 |
今までは、住宅購入での話でしたが、増改築(リフォーム)の場合でもローン控除が受けられる場合があります。その条件は
増改築工事の費用が100万円を超えており、その2分の1以上の金額を居住用部分に使っていること。ただし、工事費用が100万円を超えていればローン残高が100万円以下でも控除の対象になります。
国内転勤の場合 |
やっとマイホームを手にしたと思ったら、いきなり“転勤”を命ぜられた・・・などという話を耳にしますが、実際問題として控除適用期間に引越しをすると、その後は減税を受けられなくなります。なぜなら、ローン減税は実際にマイホームに住んでいることが条件だからです。
転勤期間中、他の人に賃貸しても空家にしていても同じでローン控除は受けられません。
転勤期間が終了してマイホームに再び住み始めれば減税が復活すると思っている人も多いようですが、戻ってきても減税は適用されません。最初に住み始めて以降、継続して住んでいることも減税の条件になっているからです。
平成15年度の改正により、平成15年4月1日以降の転勤については転勤終了後に再びマイホームに住み始めると、ローン控除の還付を受けられるようになりました(ただし、住宅ローン控除の適用期間が残っていなければなりません)。
<新制度適用の注意点> ・2003年4月1日以降の転居から新制度が適用となります。 ・「生活の本拠」となるマイホームからの転勤でなければなりません。 ・転勤前に税務署へ転勤による転居であることを申請することが条件となります。 ・会社都合によるやむを得ない転勤などが対象で、自己都合を事由とした場合は適用になりません。 |
<単身赴任の場合>
ただし、家族をマイホームに残して単身赴任したような場合は事情が違ってきます。転勤期間が終了した後にマイホームに戻って引き続き住むと認められた時には転勤期間中も所有者本人が住んでいるものとみなして、ローン減税の適用を受けることが出来ます。
住民票を移動していまうと控除が受けられなくなると思っている方がいるかも知れませんが、心配はいりません。転勤期間中も所有者本人が住んでいるものと扱ってくれるからです。住民票は移動しても、しなくてもローン控除の額は変わりません。適用期間(最大10年)が短縮されることもありません。
<二世帯同居の場合>
親と同居して二世帯で生活している場合に、ご主人夫婦全員で転勤するものの、親が引き続きマイホームに残るケースでは親子が扶養の関係(経済的に子供が親の生活をみている)にあると認められれば、上記の単身赴任の場合と同様に住宅ローン控除が継続します。
親子が別世帯でいて、転勤を機に子供のマイホームへ留守番として親が居住をはじめても、この場合は住宅ローン控除はストップします。
<一度も入居することなく家族全員で転勤した場合>
売買契約はしたけれど、マイホームの引渡しを受ける前に転勤を命ぜられた場合、「マイホームに入居する」という適用条件に外れますので、住宅ローン控除は一切受けられません(転勤が解除されマイホームへ戻ってきても還付はゼロです)。
なお、家族全員ではなくご主人だけが一度も入居することなく転勤となり、ご家族は引渡し後すぐに先行して入居した場合は、ご主人が転勤終了後マイホームへ戻ってくることが確実であれば住宅ローン控除が適用されます。
海外へ転勤の場合 |
<単身赴任の場合>
単身赴任中は「非居住者」となりますので控除を受けることが出来ませんが、海外から戻り「居住者」となれば帰国年以降、住宅ローン控除を受けられます。
<家族全員で転勤した場合>
住宅ローン控除は「居住者」に限って適用され、海外に赴任している間(非居住者となります)は住宅ローン控除を受けられません。海外勤務中に海外で受け取る収入については日本での所得税の課税対象外となるため、所得税額はゼロとなり、その結果還付される所得税はゼロとなるからです。
単身赴任の場合と異なり、帰国後に居住者となっても住宅ローン控除は復活しません。
平成15年度の改正により、平成15年4月1日以降の転勤については転勤終了後に再びマイホームに住み始めると、ローン控除の還付を受けられるようになりました(ただし、住宅ローン控除の適用期間が残っていなければなりません)。
土地を先に買い、その後で住宅を建てた場合 |
住宅ローン控除は、住宅取得のための借入金と一体として借り入れた返済期間10年以上の土地借入金も対象になります。以下の基準のいずれかを満たせば先行して取得した土地のローンも対象になります
1)建築条件付き住宅地分譲では、3ヶ月以内に(建築)請負工事契約を締結すること
2)土地取得から2年以内にこの土地の上にローン付で住宅を取得すること(建築条件付きの有無は問いません。単純に先行して土地を取得する場合も当てはまります)。
注意点として、土地部分に相当する住宅ローン減税の適用が受けられるのは、土地取得後に建物を建設し、かつ入居をした後となります。当該ローン減税は「建物」取得を基準としますので、土地だけの先行取得の場合、土地取得に対するローンに関する所得税還付だけを建物部分のローン還付より先に受けることはできないからです。
また、不動産に関する所有期間の計算方法は譲渡した年の1月1日現在を起算日としますが、ここでいう「2年」は実際の日数(たとえば2/14に土地を取得していれば2年後の2/13まで)となります。
3)住宅金融公庫・年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)などから新築日以前に借入金で土地を取得すること
財形融資、労働金庫(労金)や公務員の場合は公務員共済なども問題ありません。
4)地方公共団体などからの借入金で建築条件が付されているもの
<建物は現金で購入する場合>
建築条件付きの宅地を購入し、自宅はローンを組まずに(宅地のみ住宅ローンを利用)自己資金で建築した場合はローン控除は受けられません。住宅ローン控除の本来の目的が建物(住宅)建設を援助することを目的としているからです。また、宅地取得融資のために建物(現金購入)に抵当権を設定したとしても住宅ローン控除は適用外となります。
上記の例では宅地を自己資金で購入し、自宅を住宅ローンを利用して建設すれば、居住用部分はすべてローン控除の対象となります。
<控除の対象となる年度>
先行して土地を購入し、その後に建物を取得する場合、土地と建物の取得時期に時差が生じます。ローン控除は住宅(建物)の取得を促進するための制度ですので、住宅取得時期が基準となります。
土地取得のためのローンだけを先行して確定申告しても、そもそもローン控除の対象にはなりませんので還付は受けられません。建物取得後に建物のローンと土地のローンを同時に還付請求(確定申告)してはじめて土地相当部分のローンについて適用となります。
取得後、6ヵ月以内に入居できない場合の例外 |
住宅ローン控除の適用条件のひとつに「取得後、6ヶ月以内に入居し、入居後も引き続き住んでいること」がありますが、この場合の「入居する人の要件」は家族全員である必要はありません。
ローンの名義人(通常はご主人)が6ヶ月以内に入居できなくても、配偶者やお子さんが6ヶ月以内に先行して入居することができ、かつ、やむを得ない事情が解消した後はローン名義人が(6ヶ月を過ぎたあとに)必ず入居することが確実であれば住宅ローン控除は受けられます。
また、同居予定の親(扶養関係にあることが必要)が先行して入居し、6ヶ月を過ぎたあとにご主人家族が遅れて入居してきてもローン控除は適用されます。
なお、遅れる期間について通達に具体的な数字は記載がありません。「やむを得ない事情が解消したあと速やかにその家屋に居住すること」ができれば問題ありません。別途、確定申告時に書類が増えることもありません(たとえば転勤証明書、遅延理由書など)。
年末調整をし忘れた場合 |
サラリーマンの方は初年度だけ自分で確定申告を済ませれば、2年度目以降は会社が年末調整で住宅ローン控除の還付請求をしてくれます。ところが会社が還付請求を忘れてしまったとしたら、住宅ローン控除はどうなってしまうのでしょうか?まずは会社へ再度、年末調整をしなおしてもらうよう請求してください。
もし、それが不可能であればご自身で確定申告をすることとなります。税金の還付請求は5年間さかのぼって請求できますので、期間内であればもらい損ねる心配はありません。