(1) |
「財産分与」として譲渡する場合
居住用不動産を譲渡する場合には、譲渡所得税が課税されます。「財産分与」については、本来対価性のない譲渡ともいえますが、慰謝料を支払う代わりに不動産にて精算したという代物弁済的な意味あいを持つことから「時価評価」にて譲渡があったものとされます。離婚して親族でなくなった後に「財産分与」として譲渡する場合には、「居住用不動産の3000万円特別控除」、また、所有期間10年超の居住用不動産の場合には重ねて「軽減税率適用」の特例が受けられることになります。 |
(2) |
「財産分与」のために売却する場合
居住用不動産を第三者に売却譲渡する場合には、「居住用不動産の3000万円特別控除」、所有期間10年超の居住用不動産の場合には重ねて「軽減税率適用」の特例が受けられます。売却代金としての現金を「財産分与」として行った場合、これについての譲渡所得課税は行われません。 |
(3) |
婚姻期間が20年以上の夫婦の場合
婚姻期間20年以上の夫婦の場合、居住用不動産を贈与しても引き続き居住する場合には、贈与税の基礎控除110万円の他に「2000万円の贈与税の配偶者控除」の適用が受けられます。
この制度の適用要件の一つに、「翌年3月15日までに、その(贈与を受けた)配偶者がその土地・建物に居住し、その後も引き続いて居住する予定である場合……」という内容があります。この条文に従えば、離婚をしても居住し続ければ受けられるということになりますが、基本的には夫婦間の贈与の特例として位置付けられた制度ですので、当初から離婚を前提にしてこの特例を受けるという場合には、後で課税される可能性がでてきます。
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(4) |
ローン付居住用不動産を「財産分与」する場合
居住用不動産の時価から分与時のローン残債を差し引いた残りの金額が「財産分与」の対象となります。
具体的な事例にて説明しますと、居住用不動産の時価5000万円(取得費4500万円)夫名義の住宅ローン4000万
が残っていた場合、これを負担付の形で贈与するという場合が該当します。 |
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「財産分与」を支払う側
5000万円(居住用不動産の時価)−4500万円(居住用不動産の取得費)=500万円(譲渡所得課税)
この場合においても、要件を満たせば「居住用不動産の3000万円控除」等の特例が受けられます。 |
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「財産分与」を受ける側
5000万円(居住用不動産の時価)−4000万円(負担借入金)=1000万円(非課税or贈与税課税)
この金額が、「財産分与」額として相当な金額ということになれば贈与税は課税されないことになります。 |