1.消費税率引上げの適用時期と経過措置

 平成26 年4 月1 日以後に行われる消費税の課税取引に係る税率は、8%に引き上げられます。

 国税庁の通達では、原則、商品等の資産の譲渡はその引渡日、サービスの提供はそのサービスの全部を完了した日、資産の賃貸料は契約により支払を受けるべき日が、消費税の課税取引を行った日とされています。

 ただし、消費税の課税取引に係る契約が平成26 年3月31 日までに締結され、26 年4 月1 日以後にその契約に係る商品等の引渡しやサービスの提供等が行われる場合、上記の原則どおりに引上げ後の税率を適用すると、事務処理が煩雑になり、商取引に支障を来たすおそれもあります。このため、課税取引のうち一定の条件を満たすものは、引上げ前の税率(5%)を適用するよう、さまざまな経過措置が設けられています。以下、この経過措置規定のうち、建物を新築により取得した場合の請負代金、建物を譲渡(売買)により取得した場合の譲渡代金と、資産を貸し付けた場合の賃貸料に関する取扱いについて解説をします。

2.建物新築工事の請負代金に係る消費税率の特例

(1)5%税率が適用される場合

 事業者が平成25 年9 月30 日までに締結した工事の請負に係る契約に基づき、平成26 年4 月1 日以後に、その契約に係る建物などの資産の引渡しを行う場合には、その工事代金等に係る消費税について5%の税率が適用されます。この場合、平成25 年10 月1 日以後にその契約に係る工事代金が増額されたときは、その増額される前の代金に相当する部分に限って、5%税率が適用されます。

(2)5%税率が適用されるケースの例示

 平成25 年9 月1 日に工事代金1億円で建物の新築工事に係る請負契約を締結し、平成26 年4 月20 日に建物が完成し、引渡しを受けた場合、その工事代金1億円に係る消費税については、平成25 年9 月30 日までに請負契約を締結しているので、5%の税率が適用されます。

3.建物の譲渡代金に係る消費税率の経過措置

(1)5%税率が適用される場合

 建物を譲渡により取得した場合は、原則、その建物の引渡しを受けた日が課税取引を行った日です。譲渡契約に基づき、平成26 年4 月1日以降に引渡しを受けた建物に係る消費税については、原則として8%の税率が適用されます。

 ただし、建物の譲渡に係る契約のうち、その建物の内装・外装、設備の設置や構造が建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築されるものについては、その性質上、前記2. の請負契約に類似する契約と考えられるため、2. の特例の適用を受けることができます。

(2)5%税率が適用されるケースの例示

 建物の内装・外装、設備の設置や構造が、その譲渡を受ける者の注文に応じて建築される旨を定めた建物譲渡契約を平成25 年9 月30 日までに締結し、平成26 年4 月1 日以後にその契約に係る建物の引渡しを受ける場合、その譲渡代金に係る消費税については5%の税率が適用されます。

4.資産の賃貸料に係る消費税率の経過措置

 事業者が、平成25 年9 月30 日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、平成26 年4 月1 日前から平成26 年4 月1日以後にかけて、引き続きその契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、その契約の内容が次の(1)または(2)の要件に該当するときは、平成26 年4 月1 日以後に行うその資産の賃貸料に係る消費税については、5%の税率が適用されます。

(1)その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の賃貸料が定められており、かつ、事業者が事情の変更その他の理由により、その賃貸料の変更を求めることができる旨の定めがないこと。

(2)その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の賃貸料が定められており、かつ、契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないことなど一定の要件に該当すること。

 ただし、平成25 年10 月1 日以後にその資産の賃貸料の変更が行われた場合は、変更後のその資産の貸付け賃貸料の全額が、この経過措置の対象外となります。

リースに係る消費税率の経過措置

・ファイナンス・リース

→26.4.1より前に売買があったと考え、分割金を支払っているだけなので当然5%。

・オペレーティング・リース

→基本的には8%

ただし、25.10.1以前から、例えば1年間というように継続して

契約期間、金額を定めて貸付を受けている場合には例外的に5%でも良い。

ということのようです

  


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