<軽減税率>「10%時」 来年末までに制度設計で自公合意

毎日新聞 12月12日(木)1時57分配信

 自民、公明両党は12日未明、食料品など生活必需品の消費税率を低くする軽減税率について、「消費税10%時に導入する」との表現で、来年度税制改正大綱に明記することで合意した。具体的な導入時期は明示を避けたい自民党と10%での即時導入を求めた公明党が最終協議し、導入のための詳細な制度設計や財源確保策について「2014年12月までに結論を得て決定する」ことで決着。軽減税率の導入具体化で公明党が押し切った。自公両党は12日に大綱を正式に了承する。

 軽減税率については、公明党が「低所得者対策が必要だ」と導入を強く主張。納税事務を行う企業の負担増や1兆円規模の税収減になるとの懸念から当初慎重だった自民党も、連立を組む公明党に配慮し、大綱への導入明記を容認した。しかし「10%時」の表現は「10%の期間内」を指すにとどまっており、軽減税率の具体的な導入時期が最後の焦点になった。

 自民党は、準備作業に時間がかかることなどを理由に、「事業者など関係者の理解を得るのが先だ」と今回の大綱ではあいまいな表現にとどめるよう主張してきた。軽減税率の導入時期を決めれば、15年10月の消費税率10%への引き上げ自体も既定路線になり、安倍晋三首相の政策決定を縛りかねない、との配慮も背景にあった。

 逆に公明党は、時期を明示しなければ、軽減税率が「検討中」として結局導入されない事態になりかねないと懸念し、「消費税率10%と同時でないと、導入が担保できない」と要求。軽減税率の導入に必要な事業者の準備期間は1年強とみられることから、遅くとも14年秋までの制度設計を大綱で明記することなどを要求していた。

 自公両党は11日も税調幹部が断続的に協議。さらに同日夜から東京都内で開いた与党税制協議会で詰めの議論を行い、12日未明に折り合った。

 政府は消費増税に伴うほかの低所得者対策として、来年4月の消費税率8%の段階で、住民税が非課税の低所得者に1人当たり1万円を配る「簡素な給付措置」も実施する予定。一方、軽減税率の導入が進んでいる欧州連合(EU)では、導入済みの21カ国の標準税率が平均21.2%であるのに対し、食料品の税率は平均11.3%と約半分に軽減されている。【小山由宇、横田愛、高本耕太】




            



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