貸付金は、「法人から個人・法人」、「個人から法人」、「個人から個人」、と
それぞれ考え方が違います。どういう風に考えたらよいのかみていきます。 このページはまとめ記事なので、詳しくは各記事を参考にしてみてください。 なお、税法上の考え方ですので、民法上の貸付(金銭消費貸借契約)の考え方などは考慮していません。 ■認定利息とは ○認定利息のイメージ : 無利息や低金利で貸付を行うと、税務調査等で否認されるため、利率を設定しておくこと。 ■「法人 → 個人」・「法人 → 法人」への貸付 無利息・低金利で貸付けた場合、利息を設定する必要あり。 利息を設定しない場合は、利息相当額は「給与」・「役員報酬」等として処理する。 (所得税基本通達36-49(給与等とされる経済的利益の評価)) 基準となる利率は、 @既に他の金融機関から借入がある場合はその利率、 Aそれ以外は公定歩合+4%の率が基準 ■「法人 → 個人・法人」の貸付 もう少し詳しく ■金銭を低い利息で貸し付けたとき(国税庁のHP) ■「個人 → 法人」の貸付 取締役(個人事業主)自ら会社に資金を充当している場合、利息を設定する必要なし。 (参照:所得税法基本通達36-28) ただし、利息を取った場合は、個人の方は雑所得として所得税を申告する必要あり。 例外として、通則法65条4項でいう「正当な理由」がなく、 無利息で巨額の貸付けを行ったた場合など、不当に利益を得ている場合は、 利率を設定し、利息相当額を雑所得として申告する必要性もある。 ■「個人 → 法人」の貸付 もう少し詳しく ■「個人 → 個人」の貸付 個人間の貸付における利息部分は、原則として課税されない。 (↑明文化された条文は見たことがないので、あれば教えて下さい。) ただし、みなし贈与とされる点に注意。 税務では一般的に、返済方法や利率などを定めた借用証書を作っていないと、 事実上の贈与とみなされ、貸付金の全額が贈与とみなされます。 (参考:相続税法基本通達9-10(無利子の金銭貸与等)) 金額が110万円を超える場合、贈与税が課されます。 なお、民法上は借用証書がなくても、 お互いが合意していれば口約束でも貸付が成立するされ、 「貸付」なのか「みなし贈与」なのかについては、 判例でもよく争われています。 ■「個人 → 個人」の貸付 もう少し詳しく ■解説 ・法人からの貸付について 税法では、たとえ自分のお金でも、法人は利益を求める存在であるから、 「貸付けた場合は利息を取り、利益は計上すべき」と考えています。 もし別の金融機関から借りたお金を、無利息で貸せるとしたら、 利息部分で利益操作を行えてしまいます。 ですので、個人に貸付けた場合は給与等として評価しなさい、という意味があります。 ・個人からの貸付について 個人の場合、たとえ親からの借金だとしても、契約や借用証書などがなければ、 借入ではなく贈与と判断される場合があります。実態は、贈与と同じだからです。 これを「みなし贈与」といいます。 たとえば、「100年後に500万円返す」というのも贈与とみなされるでしょう。 普通に考えれば、100年後は二人とも生きていませんから、 これはあげたのと同じことだと言えるためです。 ただし、民法上は口約束でも貸付は成立するとされており、 「貸付金」か「みなし贈与」か争われる判例も数多く存在します。 この場合、借りた側に返済能力があるのか、などが判断の基準になっています。 利息額計算 お金を借りたら、借りたお金(元金)を返すだけでなく、その使用料である「利息」を支払わなければなりません。 利息額=元金額×金利(利率)×借入期間 利率の表示単位には、日歩(ひぶ)、月利(げつり)、年利(ねんり)があります。
利率を考える場合の基本は年利です。銀行では基本的に全ての利率を年利で表示しています。日歩や月利で表されている場合は、年利に換算しないと正確な比較ができないので、注意しましょう。 分割返済(毎月分割して少しずつ返済)の場合には、もう一つ注意点があります。利息額の計算は、元金×利率×借入期間となりますが、分割返済の場合には、この元金は毎回の返済によって減っていきます。 したがって、正確には「利息額=借入残高×利率×借入期間」となります。このように借入残高を基準として利息を計算する方法を「残債方式」といい、この方式で利息を計算することを前提として表示された年利率を「実質年率」といいます。 これに対して、当初借入れた元金が減少しないと仮定して利息を計算する方法を「アドオン方式」といい、この方式で利息を計算することを前提として表示された金利を「アドオン金利」といいます。 アドオン金利には、毎月返済額や返済総額が簡単に計算できるという利点がありますが、預金などの金利と比べて金利がかなり低いかのように誤解しやすいという問題があるため、アドオン金利を表示する場合には、実質年率を併記しなければならないことになっています。 |