No.6421 課税売上割合が著しく変動したときの調整

[平成26年4月1日現在法令等]

 課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等に係る消費税額について比例配分法により計算した場合で、その計算に用いた課税売上割合が、その取得した日の属する課税期間(以下「仕入課税期間」といいます。)以後3年間の通算課税売上割合と比較して著しく増加したとき又は著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行います。
 なお、この調整は、調整対象固定資産を第3年度の課税期間の末日に保有している場合に限って行うこととされていますので、同日までにその調整対象固定資産を除却、廃棄、滅失又は譲渡等したことにより保有していない場合には行う必要はありません。

  1. (注1) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。
  2. (注2) 「比例配分法」とは、個別対応方式において課税資産の譲渡等とその他の資産に共通して要するものについて、課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算する方法又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算する方法をいいます。
     なお、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上(※)であるためその課税期間の課税仕入れ等の税額の全額が控除される場合を含みます。

    ※ 平成24年4月1日以後に開始する課税期間からは、当課税期間における課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には当課税期間の課税売上高を当課税期間の月数で除し、これに12を乗じて算出した金額で判定)以下となります。

  3. (注3) 「第3年度の課税期間」とは、仕入課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。
  4. (注4) 「通算課税売上割合」とは、仕入課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間中の総売上高に占める課税売上高の割合をいいます。

1 通算課税売上割合が著しく増加した場合

 通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく増加した場合には、次の金額(加算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額に加算します。

加算金額=(調整対象基準税額×通算課税売上割合)-(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合) (注1)著しく増加した場合とは、次のいずれにも該当する場合をいいます。 (イ)(通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100 (ロ)通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合≧5÷100 (注2)調整対象基準税額とは、第3年度の課税期間の末日に保有している調整対象固定資産の課税仕入れ等の消費税額をいいます。

2 通算課税売上割合が著しく減少した場合

 通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく減少した場合には、次の金額(減算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額から控除します。

減算金額=(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合)-(調整対象基準税額×通算課税売上割合) (注1)著しく減少した場合とは、次のいずれにも該当する場合をいいます。 (イ)(仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100 (ロ)仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合≧5÷100

 なお、控除しきれない金額があるときには、その金額を第3年度の課税期間の課税売上高に係る消費税額の合計額に加算します。

(消法2、30、33、消令5、53、消基通12-3-3)


課税事業者選択の取りやめと簡易課税制度選択の制限

【照会要旨】

 新たに開業した年から課税事業者を選択した個人事業者が、その開業した年に調整対象固定資産の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合、開業1年目(基準期間)の課税売上高が1千万円以下であっても、開業3年目は課税事業者となるのでしょうか。

【回答要旨】

 課税事業者を選択した事業者は、課税事業者となった課税期間の初日から原則として2年間は免税事業者となることはできませんが、平成22年4月1日以後に「消費税課税事業者選択届出書」を提出した事業者は、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の確定申告を一般課税で行う場合には、当該調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った日の属する課税期間の初日から原則として3年間は、免税事業者となることはできず、簡易課税制度を適用して申告することもできません(一般課税により消費税の確定申告を行う必要があります。)。
 なお、課税事業者を選択した場合の具体的な適用事例については、「消費税法改正のお知らせ(平成22年4月)」(PDF/3,771KB)を参照してください。

(注) 調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいいます。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第16号、第9条第4項、第6項、第7項、第37条第2項、消費税法施行令第5条





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