土地等の先行取得をした場合の課税の特例
 
 当社では、この度、創設された土地等を先行取得した場合における課税の特例の適用を検討しています。この場合の留意点を教えて下さい。
 

 事業者が、平成21年又は22年中に、国内にある土地等の取得をし、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行取得した土地等について、他の土地等の譲渡益の一定割合相当額を圧縮記帳することにより課税の繰延ができる制度が、平成21年度税制改正により創設されました。

(会議所ニュース6月号特集参照)
1 圧縮対象となる先行取得土地等

 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得した国内にある土地や借地権が対象となります。なお、棚卸資産に該当するものや、その法人と特殊の関係がある者からの取得、合併、分割、贈与、交換、現物出資等による取得及び所有権移転外リース取引による取得などは適用対象となりません。また、先行取得土地等については、特定資産の買換えの圧縮記帳とは異なり、土地の面積制限はありません。

2 適用対象となる譲渡土地等

 その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その所有する他の土地等を譲渡した場合について対象となります。将来譲渡する土地等の取得時期は問われませんから、他に土地等を保有していない場合において、今後取得する土地等については先行取得土地等として所轄税務署へ届出を済ませたものでも、他の先行取得土地等の取得価額から圧縮限度額まで減額できることとなります。この場合は先行取得土地等が複数あることが前提となります。

3 圧縮限度額

 他の土地等の譲渡益の80%相当額(その先行取得した土地等が平成22年1月1日から平成22年12月31日までに取得をされたもののみである場合には60%相当額)が限度となります。
 例えば、21年中に土地等を取得し、その後、他の土地等を譲渡した場合には、まず21年中の先行取得土地等の取得価額につき圧縮記帳を行うこととなりますが、更に圧縮限度額に余裕がある場合には、22年中の先行取得土地等についても80%の圧縮損を計上できることとなります。

4 特例を受ける旨の届出

 その取得の日を含む事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、この特例の適用を受ける旨の届出書を提出しなければなりません。
 また、特例の適用にあたっては、他の土地等を譲渡した事業年度に係る確定申告書の提出期限までに必要書類の添付等が必要となります。このため、取得日の確認資料としては登記事項証明書や売買契約書など、取得価額の確認資料としては売買契約書や売買代金支払時の領収証、登記費用の領収証、仲介手数料の領収証などをきちんと保存しなければなりません。

5 1千万円特別控除への切替え

 取得事業年度終了の日後10年以内に土地等の譲渡益が発生しない場合には、平成21年度税制改正で創設された特定の長期所有土地等の1千万円特別控除制度に切り替えることができます。
 この特例は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした土地等で、譲渡時の所有期間がその年の1月1日時点で5年を超える場合には、その譲渡益の額から1千万円を控除できる制度です。この特例は先行取得土地等の特例とは異なり、取得した事業年度の確定申告期限までに所定の届出書を提出する必要はありません。


【図】土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例




            



-