優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例

〈制度の概要〉

長期譲渡所得のうちに昭和62年10月1日から平成31年12月31日までの間の優良住宅地等のための譲渡に係る所得がある場合には、その長期譲渡所得に対する所得税は、右記のように軽減される(措法31の2①)。

なお、その譲渡が優良住宅地等の譲渡に該当しない場合であっても、予定期間(原則として2年)内に右記⑯から⑳までの土地等の譲渡に該当することとなることが確実であると認められるもの(確定優良住宅地等予定地のための譲渡)の場合には、次の制度の下で、同様に軽減される(措法31の2③~⑩)。

① 予定期間内に右記⑯から⑳までの「優良住宅地等のための譲渡」に該当することが確実である旨の一定の書類を確定申告書に添付することにより、その譲渡段階でこの特例による納税を認める。

② 予定期間内に、その予定地である土地等の譲渡が優良住宅地等のための譲渡に該当することとなれば、その予定段階の税額で納税が終了する。

③ 仮に、予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当しなくなった場合には、修正申告書の提出を求めて(又は更正により)当初の税額の修正・納税を求める。

また、土地建物等の譲渡所得について特別控除や買換えなど他の特例(措法33~33の4、34~35の2、36の2、36の5、37、37の4~37の6、37の8、37の9)の適用を受ける場合には、この特例の適用を受けることはできない(措法31の2④)。

〈特例の対象となる譲渡又は資産〉

優良住宅地等のための譲渡とは、次の譲渡をいう(措法31の2②、措令20の2①~⑱)。

  • ① 国若しくは地方公共団体に対する土地等の譲渡又は首都高速道路株式会社等に対する土地等の譲渡でこれらの法人の行う収用事業の対償とするためのもの
  • ② 独立行政法人都市再生機構、土地開発公社等の行う住宅建設又は宅地造成等の用に供するための土地等の譲渡
  • ③ 独立行政法人都市再生機構が行う被災市街地復興特別措置法による被災市街地復興土地区画整理事業の用に供するための土地開発公社に対する土地等(同法の規定により都市計画に定められた被災市街地復興推進地域内にあるものに限る。)の譲渡
  • ④ 独立行政法人都市再生機構が行う都市再開発法による第2種市街地再開発事業の用に供するための土地開発公社に対する土地等(被災市街地復興特別措置法に規定する住宅被災市町村の区域内にあるものに限る。)の譲渡
  • ⑤ 収用交換等による土地等の譲渡
  • ⑥ 都市再開発法による第1種市街地再開発事業の用に供するための施行者に対する土地等の譲渡
  • ⑦ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業の用に供するための施行者に対する土地等の譲渡
  • ⑧ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災再開発促進地区内における認定建替計画(一定の規模要件等を満たすものに限る。)に係る建築物の建替えを行う事業の用に供するための認定事業者に対する土地等の譲渡
  • ⑨ 都市再生特別措置法の認定計画に係る都市再生事業(事業区域が1ha以上等の一定の要件を満たすものに限る。)の用に供するための認定事業者に対する土地等の譲渡
  • ⑩ 都市再生特別措置法の認定整備事業計画に係る都市再生整備事業(事業区域が0.5ha以上等一定の要件を満たすものに限る。)の用に供するための認定整備事業者に対する土地等の譲渡
  • ⑪ 国家戦略特別区域法の認定区域計画に定められている特定事業又は当該特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する一定の事業を行う者に対する土地等の譲渡
  • ⑫ マンションの建替え等の円滑化に関する法律によるマンション建替事業(良好な居住環境の確保に資する一定のものに限る。)の用に供するための施行者に対する同法の売渡請求等に基づく土地等の譲渡
  • ⑬ マンションの建替え等の円滑化に関する法律によるマンション敷地売却事業(当該事業に係る認定買受計画に、マンションを除却した後の土地に建築される一定のマンション等に関する事項の記載があるものに限る。)の用に供するためのその事業の実施者に対する同法の売渡請求又は分配金取得計画に基づく土地等の譲渡
  • ⑭ 市街化区域等内において行う優良な建築物を建築する事業(施行地区面積が500㎡以上等一定の要件を満たすものに限る。)の用に供するための事業者に対する土地等の譲渡
  • ⑮ 地上階数4以上の中高層耐火建築物の建築を目的とする事業の用に供するための事業者に対する既成市街地等一定の区域内にある土地等の譲渡
  • ⑯ 都市計画区域内において行う一団の宅地の造成(一団の宅地の面積が1,000㎡以上等一定の要件を満たすものに限る。)の用に供するための土地等の譲渡
  • ⑰ 都市計画法の開発許可を受けて行う面積が原則として1,000㎡以上の一団の住宅地造成の用に供するための土地等の譲渡
  • ⑱ 都市計画区域内の宅地の造成につき開発許可を要しない場合において行う面積が原則として1,000㎡以上の一団の住宅地造成(優良宅地の認定を受けたものに限る。)の用に供するための土地等の譲渡
  • ⑲ 都市計画区域内において行う25戸以上の一団の住宅又は15戸若しくは延床面積1,000㎡以上の中高層耐火共同住宅(優良住宅の認定を受けたものに限る。)の建設の用に供するための土地等の譲渡
  • ⑳ 一定の住宅又は中高層耐火共同住宅の建設を行う個人又は法人に対する土地等(土地区画整理事業の施行区域内の土地等で仮換地の指定がされたものに限る。)の譲渡のうち、その譲渡がその指定の効力発生の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに行われるもので、その住宅又は中高層耐火共同住宅の用に供するための土地等の譲渡

〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉

① 課税長期譲渡所得金額が2,000万円以下である場合

課税長期譲渡所得金額×10%(住民税4%)

② 課税長期譲渡所得金額が2,000万円を超える場合

200万円+(課税長期譲渡所得金額-2,000万円)×15%(住民税5%)



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