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| <1>課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分 | →10%(住民税は4%) |
| <2>課税長期譲渡所得金額が6,000万円超の部分 | →15%(住民税は5%) |
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所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡し、一定期間内に新たな居住用財産を取得した場合には、譲渡所得について課税の繰延べの特例、いわゆる居住用財産の買換えの特例が認められます。この特例を適用すると譲渡代金の全部で買換えた場合には、その譲渡資産の譲渡はなかったものとして課税されません。譲渡代金の一部で買換えた場合つまり譲渡価額より買換資産の取得価額の方が小さい場合にのみ、その差額について長期譲渡所得として課税されます。
なお、この居住用財産の買換えの特例と3,000万円の特別控除の特例及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を同時に適用することはできません。
買換えの特例の対象となる家屋又は土地等は、次の[1]又は[2]の区分に応じそれぞれに掲げる要件に該当する居住用財産です。
平成10年1月1日から平成18年12月31日までの間に居住用財産を譲渡した場合で、譲渡資産及び買換資産が次の要件に該当する場合に、この特例を適用できます。
父母等から相続等により取得した居住用財産を譲渡した場合で、譲渡資産及び買換資産が次の要件に該当する場合には、この特例の適用を受けることができます。
居住用財産の買換えの特例の適用を受けるためには居住用財産を譲渡した年分の申告書別表第三表(分離課税用) の「特例適用条文」欄に「措法36条の6」([1]を適用するとき) 「措法36条の2」([2]を適用するとき) と記入するとともに住民票、譲渡資産の登記簿謄本等一定の書類を確定申告書Bに添付しなければなりません。
また、買換資産の取得については、確定申告書の提出の日まで、または買換資産の取得をした日から4ケ月以内に買換資産の登記簿謄本等一定の書類の提出が必要です。
| 区 分 | [1]の適用要件 | [2]の適用要件 |
|---|---|---|
| 譲渡資産の所有期間 | 10年を超えていること | 10年を超えていること |
| 譲渡資産の取得原因 | 制限なし | 父母又は祖父母から相続等により取得していること |
| 本人の居住期間 | 10年以上であること | 30年以上であること |
| 買換資産の範囲 | 建物→床面積50m2〜280m2(マンションの場合は専有部分の登記面積で判定)
土地→面積500m2以下(マンションの場合は敷地の持分面積で判定) 中古の耐火建築物は新築後25年以内のもの |
制限なし |
| 譲渡資産の譲渡期間 | 平成10年1月1日から平成18年12月31日まで | 制限なし |
Cさんは、昭和54年に取得し、引き続き住んでいた住宅をその敷地とともに平成16年4月に6,000万円で売却し、新たに4,800万円の新築住宅(床面積90m2、敷地面積100m2) を購入し、居住しています。
なお、譲渡資産の取得費は不明ですが、譲渡に際して仲介手数料その他に80万円を支出しています。

1,124万円×15%=168万6,000円(所得税額)
1,124万円×5%= 56万2,000円(住民税額)
なお、居住用財産の買換特例の適用を受けた場合には低率分離課税の適用はありません。
短期譲渡所得の課税
30%(住民税9%) (平成16年以降の譲渡の時)
長期譲渡所得の課税
15%(住民税5%) (平成16年以降の譲渡の時)
下記1.、2.、3.のうちいずれかを選択
3,000万円の特別控除も、買換えの特例も選択適用なので、一度買換えの特例の適用を選択して申告すると、災害等やむを得ない事情により買換資産を取得できなかった場合を除いて、3,000万円の特別控除に変更することはできません。
上記までは、個人が居住用財産を譲渡し、譲渡益が発生している時に課税される譲渡所得税・住民税を軽減する特例について述べてきました。
ところで、不動産を譲渡した場合には利益ではなく損失が出るケースもあります。
所有期間5年を超える居住用財産を譲渡したことにより損失が発生した時には税金が軽減される特例があり、それが「居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」です。
個人が所有期間5年を超える一定の要件を満たす居住用財産を譲渡したことにより譲渡所得の金額が赤字となった時(譲渡代金が取得費と譲渡費用の合計額に満たないとき) は、その損失の金額を譲渡した年の他の所得(給与所得など) と通算(赤字の所得と黒字の所得を合算すること) することができます。この通算をするとその年の課税の対象になる所得は低下することになります。給与所得者の場合は、給与から源泉されている所得税はこの赤字の所得は考慮されていませんので、所得税を納め過ぎということになり、譲渡の翌年に確定申告すると、納め過ぎた所得税の還付が受けられることになります。
この損益通算は居住用財産(住宅ローン残高なしでもよい) を譲渡したことによる損失が発生している場合で、新たに住宅ローンを使って居住用財産を買い換えた場合や住宅ローン残高が残っている居住用財産を譲渡したことによる損失が発生し、かつ、その住宅ローンの残高が譲渡価額を超えている場合に適用を受けることができます。
前記(1) の損益通算をしてもまだ赤字の金額が残っている場合で一定の要件を満たしている場合に、その損失の金額を翌年以降3年間繰り越してその年分の他の所得と通算し、その繰り越した年分の所得税・住民税を軽減することができる「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除」制度や「特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除」制度の適用を受けることができます。
この制度の詳細は「6−2.居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除制度」をご参照ください。
(注) 平成16年1月1日以後に土地、建物等を譲渡したことにより発生した譲渡損失は、原則、損益通算および繰越控除ができなくなりましたが、上記の居住用財産の譲渡により発生した損失のみ損益通算および繰越控除ができます。

Q 父から相続した家屋を建て替えましたが、この家屋は、相続等により取得した居住用財産の買換えの特例の対象になりますか。
A 原則としては、建て替えた家屋は相続等により取得した家屋ではありませんので、買換えの特例の対象とはなりません。ただし、相続や遺贈により取得した家屋を取り壊し、その後遅滞なくその家屋の敷地であった土地の上に家屋を建築した場合は、相続または遺贈により取得したものとみなされます。この場合、建替え後の所有期間が10年を超えている場合に限り、買換えの特例の対象となります。
Q 今まで住んでいた家屋を取り壊し、その敷地である土地を譲渡することになりました。この場合、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の適用を受けることができるでしょうか。
A 今まで住んでいた家屋を取り壊して、その敷地である土地等のみを譲渡した場合には、その家屋を取り壊した日から1年以内にその土地等の譲渡に関する契約が締結され、かつ、その土地等の譲渡がその家屋に居住しなくなった日から3年目の12月31日までに行われており、また家屋を取り壊した後に貸付けその他の用に供していない場合に限り、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の適用を受けることができます。